最小侵襲人工膝関節置換術(MIS TKA)について

人工膝関節置換術(Total Knee Arthroplasty: TKA)が臨床に応用されてからすでに50年が経過している。この間、手術手技やデザインなどの改良、向上に伴い、安定して良好な臨床成績が数多く報告されている。

整形外科における手術療法は、可能な限り低侵襲で行うという概念が1990年代後半より導入されてきた。最近では、最小侵襲手術により人工膝関節置換術(MIS TKA)がアメリカで開発され、術後成績が報告されるようになってきた。

日本でも行われてきているが、MIS TKAは未だ発展途上であり、手術手技や臨床的意義などに問題点も残されている。

ここで、最小侵襲人工膝関節置換術(MIS TKA)について、一般論や現在までのトピックス、さらには小生の私見を述べる。

はじめに

現在まで行われてきたスタンダードアプローチ(従来の方法)による人工膝関節置換術(TKA)においては、その手術手技、材料、およびデザインなどの改良、発展を経てそのコンセプトはほぼ完成しており、その長期成績も安定して良好な結果が報告されています。

実際にアメリカを世界各国においても人工関節置換術を専門としている殆どの医師が従来のスタンダード法を用いて手術を行っている現状があります。

しかしながら、少しでも患者さんに与える侵襲を少なくし、術後早期の社会復帰を目標とする低侵襲もしくは最小侵襲手術は人工膝関節置換術を専門とする医師としては大きな目標であり課題であると考えます。

また、医療費など現状を考えると包括医療制度や、在院日数短縮化、およびクリニカル・パスの適応などを考慮するとMIS TKAは時代の流れの要素もある。

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