変形性膝関節症とは

人工膝関節置換術の原因疾患として最も多いのが「変形性膝関節症:へんけいせいひざかんせつしょう」です。
変形性膝関節症とは、クッションの役割をしている軟骨がすり減り、関節に炎症が起こったり変形したりして関節に痛みを引き起こす病気です。

正常な膝関節

正常な膝関節では、骨の表面にある軟骨が正常に機能しているため、膝関節に加わる負担や衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしています。また、滑膜から分泌されている関節液は軟骨の成分の一つであるヒアルロン酸を含んでいる粘調度の高い粘り気のある液体で、膝関節が滑らかに動く潤滑油と軟骨の栄養の役割をはたしています。このように正常の膝関節では本来の滑らかな動きが痛み無く可能になります。

変形性膝関節症(初期から中期)

まだ初期の変形性膝関節症では、軽度の関節軟骨の磨耗が生じているものの、本人が自覚するような症状はほとんどありません。
ところが、軟骨の磨耗がある程度すすむ(中期)んでくると、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、そして歩行時の膝にかかる負担の増加など、さらには軟骨、半月板の変性による刺激などによって関節炎が生じます。
関節炎が生じると、膝を曲げ伸ばししたときの痛み(動作時痛:どうさじつう)や曲げ伸ばしの動きが制限(可動域制限:かどういきせいげん)が生じます。また、関節液が多量に分泌されて関節に「みず」がたまること(関節水腫:かんせつすいしゅ)が起こったりします。なお、この時は関節内のヒアルロン酸は逆に減少して、粘調度は低下しています。

<変形性膝関節症の進行度におけるレントゲン所見:初期>

<変形性膝関節症の進行度におけるレントゲン所見:中期>

変形性膝関節症(進行期)

さらに変形性膝関節症が進行(進行期)してくると、軟骨の磨耗(まもう)がさらに進み、関節の土台の骨を成している(軟骨下骨:なんこつかこつ)が露出(ろしゅつ)したり、骨棘(こつきょく)といった骨そのものの変形が生じたりします。
ここまでくると、単純な膝の動き(膝を動かしたり立って歩いたりする)のたびに、硬い骨同士が直接ぶつかり合うために非常に強い痛みを生じてしまいます。また、膝関節の曲げ伸ばしの制限(可動域制限:かどういきせいげん)も高度となり日常生活において大きな障害となります。

<変形性膝関節症の進行度におけるレントゲン所見:末期>

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