変形性膝関節症に対するリハビリテーション

変形性膝関節症に対するリハビリテーションの主な目的は、膝の曲げ伸ばしの回復(可動域訓練)と、膝を支える筋力の回復(筋力訓練)の2つです。

この2つのリハビリテーションは膝本来の大きな2つの機能である「可動性(かどうせい)」と「支持性(しじせい)」を回復させる上でとても大切な内容です。

これらは変形性膝関節症の治療のみならず予防法としてもとても重要になってきます。また、人工膝関節置換術を受ける方や受けられた方にも大切になってきますので、多くの方々に行って頂きたい内容といえます。

可動域(かどういき)訓練

可動域訓練とは、変形性膝関節症によって関節の動きが悪く滑らかに動かなくなったり、動く範囲が制限されたりした場合に、その動きの改善や制限された動きの範囲を広くするために行われます。
ただし、やみくもに動かすのでは時に症状を悪化させる事もあるので注意が必要です。膝の曲げ伸ばしの訓練は、膝を温めてから行うのが良いでしょう。温めてから行うと、痛みも比較的少なく、関節や筋肉も柔軟になっているのでより効果的です。
自宅で行う場合、蒸しタオルを10~15分程度膝にあてて温めたり、入浴時にゆっくりと温めてから浴槽の中で膝の訓練をするのが良いでしょう。

筋力訓練

変形性膝関節症では、太ももの膝の周りの筋肉を鍛えて、膝の関節を支える力をつけることがとても大切です。なぜなら、膝には歩行時に体重の2~3倍、階段昇降時た運動時には5~6倍もの負担がかかるからです。
やり方としては、仰向けに寝た状態や、椅子に座った状態で片方の足を上げ、そのまま10秒程度維持するようにします。最初は少ない回数で短い時間の保持でかまいません。なお仰向けで行った場合は、脚は30~45度程度に挙げましょう。
この方法は、誰でも自宅でもやる事が可能で膝関節を支える上で最も重要な大腿四等筋の力を鍛える方法として最も簡単な方法です。ぜひ、試してください。(ただ、筋力はすぐにはつきません。最低でも2~3月間は続けてみましょう。)
また、水中歩行もお薦めです。プール内での運動は浮力のために「膝への負担が少ない」状態で行うことができますので、膝の痛みの強い方にも行いやすいといえます。

(注)医療機関で理学療法士のもとで行う場合は心配ありませんが、自宅などで一人で行う場合は「正しいやり方」と「適切な量」が大切になります。間違った方法や訓練のし過ぎでは逆に症状が悪化する事もあります。その際には必ず医療機関を受診して医師や理学療法士の指導を受けられることをお薦めします。

PREV
NEXT