人工股関節置換術を受ける前の問題点・注意点

内服について

人工股関節置換術を受ける前に内服について注意点があります。
痛みのために多くの方が飲んでいる消炎鎮痛剤ですが、鎮痛剤を服用している方は、可能であれば手術の最低1週間前には服用をお止め頂くほうが良いでしょう。

なぜならこれらの薬は出血の原因となり得るからです。その他、ワルファリン(ワーファリン®)、アスピリン(バイアスピリン®、バファリン81㎎®)、チクロピジン(パナルジン®)などの、血液を固まりにくくする薬を常用されている方も同様です。

特に、心房細動、不整脈などの心臓疾患をお持ちの方や、過去に静脈血栓症、肺塞栓症、脳梗塞などを起こしている方は、これらの血液を固まりにくくする薬を飲んでいることが多くあります。
これらの薬を飲まれている方は、必ず主治医に相談して下さい。

体重コントロール

前述しましたが、股関節は体重を支える荷重関節であり、歩行時には体重の約3倍の負担がかかります。
つまり、体重が1キロ減れば股関節に掛かる負担は3キロ減るわけです。

そのため、標準体重よりも体重のある方は、手術前から減量を含め体重のコントロールを十分に行うことが大切です。しっかりと管理出来ていれば人工股関節置換術後に股関節に掛かる負担も少なく、リハビリもスムーズにすすむことが期待できます。

運動

人工股関節置換術後のリハビリ・運動は当然大切ですが、術前の運動も同様に大切です。
股関節に過度に負担をかけない範囲での簡単な筋肉の収縮の運動は、術後に歩行するための準備として、脚の筋肉の筋力や伸縮性をアップ(維持)するのに大切だからです。

人工股関節置換術後に効率よくリハビリをすすめるためにもぜひ手術前の運動をすることをお勧めします。
なお、以下の運動はベッド上でも可能であり、比較的容易に出来るので試してみてください。

ただし、過度の運動は逆効果です。1日に2~3回が目安として行って下さい。筋肉痛が強く出てしまって続けられなくなるような場合は、回数を減らして下さい。

臀部のストレッチ

10秒数えながら背中を軽く反らす様にして、両臀部をしっかりと伸ばして下さい。その後リラックスし、これを10回繰り返します。

大腿四頭筋のストレッチ

ベッド上で脚を伸ばした状態で座り、膝の後ろをベッドに押し付け、ももの付け根の筋肉を伸ばします。又は、足首を返して、膝をしっかりと伸ばしたままベッドから5~10㎝持ち上げて、5秒間そのままにして下ろします。これを20回ずつ、可能でしたら朝、昼、夕と行って下さい。

ハムストリング(腿や膝の後ろ側の筋肉)のストレッチ

膝を曲げ伸ばしします。10秒数えながら、かかとを押し出し、ベッドに降ろし、臀部に引き寄せます。リラックスし、10回繰り返します。

足首を回す

はじめは、一方向に回します。その後、もう一方も行ないます。これを10回繰り返します。

足首の上下運動

足首をゆっくりと上下に動かします。10回繰り返します。これは深部静脈血栓症の予防にもつながります。

押し付けトレーニング

椅子に座りながら、横に両手をつき、肘を伸ばしながら、椅子から臀部を引き上げます。10回繰り返します。

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