膝関節のしくみ

人工膝関節置換術について理解していただく前に、「膝関節のしくみ」について説明しておきましょう。

そもそも膝関節は、大腿骨(だいたいこつ;太ももの骨)、脛骨(けいこつ:すねの骨)そして膝蓋骨(しつがいこつ;お皿の骨)の3つの骨から構成されている関節です。この膝関節は荷重関節とよばれ、体重を支えています。一般的に歩行するだけで体重の約3倍。階段の上り下りや走ったりするときには約5~6倍の負担がかかります。
 
さて、これだけの負担を支えられるにはいくつかの理由があります。膝の構造とその働きについて説明していきましょう。

膝関節の中において、骨の表面は非常に滑らかな「軟骨(なんこつ)」で覆われています。そしてその隙間には半月板(はんげつばん)という繊維軟骨(せんいなんこつ)があります。
また、関節は関節包(かんせつほう)というふくろで覆われており、その内側にはひだ状の滑膜(かつまく)があり、潤滑油の役割をしている関節液(かんせつえき)を分泌しているのです。
これら、軟骨や半月板、そして関節液などのはたらきによって、膝関節は非常に滑らかな動きを可能にしているのです。


膝の屈曲角度(まがる角度):一般に、膝の痛みで困っている人を除き、膝の曲がる角度を意識しておられる方は少ないと思います。どれくらい曲がるか知っていますか?

膝の曲がる角度は、最大でほぼ150度です。これは日本の伝統である正座をする時の角度です。また、しゃがみこむ時は約120度、歩く時は約60度です。これらの曲がる角度は人工関節の手術においては最近非常に注目されています。

PREV
NEXT