人工膝関節置換術

人工関節置換術の殆どの手術は膝関節と股関節で占められています。ここでは、人工膝関節置換術について説明していきます。

人工膝関節置換術は英語で「Total Knee Arthroplasty ( TKA )」とか「Total Knee Replacement ( TKR )」と表記され、それぞれ略して「TKA」とか「TKR」と言われています。さて、人工膝関節置換術は、後ほど説明しますが「変形性膝関節症」や「関節リウマチ」などの疾患によって、破壊され変形した膝関節の痛みのために歩く事が困難になったり、日常生活に大きな支障を来たす患者さんに対して行われる手術です。

人工膝関節置換術を簡単に説明すると、関節の壊れてしまった骨・軟骨の部分を切除して、人工関節を埋め込みます。人工関節は金属(コバルトクロム合金やチタン合金)と超高分子ポリエチレンで出来ています。わかりやすい例えで言えば、歯がダメになった方に対して再びものがしっかり噛めるように入れ歯にするようなものです。つまり、人工膝関節は膝関節の「総入れ歯」と同じようなものであることをイメージしてください。

1950年代に始まった人工膝関節置換術ですが、当初は成績が安定せず現在まで様々な製品の改良や手術手技の改善が繰り返されてきました。その結果、人工膝関節置換術の成績は近年極めて安定して良好な結果を示し、今では患者さんが安心して受ける事の出来る手術になってきました。

安定して結果を残せるようになって以来、この人工膝関節置換術は年々増加しております。2004年のデータでは、1年間に日本で約4万例もの人工膝関節置換術が行われました。今では高齢化や手術手技の普及によって、更に増加し続けています。ちなみに、人工関節の先進国であるアメリカでは、この人工膝関節置換術は日本と比較してずっと一般的であり、毎年20万例以上の手術が行われています。そのため、日本とは異なりアメリカを始め海外では「人工関節専門医」として、人工関節の手術を専門にしている整形外科医によって行われています。日本ではまだ少ないですね。ですから、アメリカでの人工関節専門医の経験は日本と比べ物にならないくらい多く、知識や技術も優れています。もちろん、日本人は元来とても勤勉で器用ですから知識や技術は負けていませんが、経験では中々追いつけません。

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