変形性股関節症の保存的治療

保存的治療はまず「日常生活動作の注意点」を指導する事が非常に大切です。その中で最も効果があるのは「股関節にかかるストレスを減らす」ことです。

減量

股関節にかかるストレスを少なくする上で「減量」は最も効果があると考えられます。(もちろん、標準体重の方が無理に減量する必要はありません)
股関節は膝関節同様、体重を支える関節(荷重関節)です。一般的に歩行する際には体重の約3倍、階段昇降時には5~6倍の負担が掛かると言われています。
ですから、体重を1キロ減らすだけで歩行中の股関節にかかるストレスを3キロも減らすことになります。
つまり体重1キロの減量が3キロのストレス減に繋がるのです。

杖歩行

股関節への負担を減らすもう一つの有効な方法として「杖歩行」があります。
杖や歩行器具を使用することにより、股関節に掛かる負担が随分と減ります。
これは変形性股関節症の方にとって非常に効果的です。
よく、外見を気にされて杖の使用を拒まれる方がいますが、除痛効果だけでなく、症状の進行を防ぐ意味においても効果がありますので、主治医や理学療法士と十分相談された上で使用を検討されることをお勧めします。

リハビリテーション

リハビリによる筋力強化訓練なども効果あります。変形性股関節症による痛みのために、どうしても運動が困難になってきます。
すると、筋力が低下し股関節を支えることが出来なくなってしまいます。
するとさらに痛みが悪化したり、股関節の可動域が低下してしまうという「悪循環」に陥ってしまいます。
そこで、筋力つける(維持する)運動療法や関節の動きの幅を維持する(拡げる)ストレットなどのリハビリも効果があります。
ただし、この場合も医師や理学療法士と十分に相談の上、メニューをつくってもらい無理のない効果的なリハビリをされることをお勧めします。

薬物療法

内服

主に非ステロイド系抗炎症剤を用います。アスピリン、インドメタシン、ロキソプロフェン、ナプロキサン、ボルタレンなどといった薬が一般的に使用されています。
これらの薬は時に非常に効果がありますが、時に胃腸障害などの副作用をもたらすこともありますので、医師の指示通りに内服されることをお勧めします。
また、何か副作用と思われる症状がでたらすぐに連絡をして相談されると良いでしょう。

外用剤

湿布、塗り薬なども適宜使用するとよいでしょう。外用剤の利点としては、胃腸障害など、内服で見られるような内臓の副作用がほとんどないことでしょう。
かぶれなどの副作用もありますが、内服と比較すると安全に使用できます。

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